実際に交通事故に遭った場合の損害額は?

 前の記事では自転車保険のリスク対応漏れの問題について述べましたが、実際にロードバイク乗車中に交通事故に巻き込まれた時に、被害者の保険加入状況の違いでどの程度差が生じるかをモデルケースを作成して試算したいと思います。

交通事故で最悪のケース「加害者が無保険」のモデルケースで試算

 交通事故で最悪のケースといえば、無保険車との交通事故で被害者になることです。加害者が任意保険に加入していない場合、加害者本人から賠償金を払ってもらえる見込みは全くと言っていいほどありません。自賠責保険という公的な被害者救済制度は存在するものの、最低限の補償でしかなく上限額も決められているので、不足する部分は被害者自身が加入する保険の補償に頼るほかありません。

 平成27年夏の出来事ですが、北海道で大学サイクリング同好会のメンバーが合宿で一般道を走行中、自動車が後方から自転車の車列に次々と追突し、合計9名の方が重軽傷を負うという交通事故がありました。このうち4名が短期の入院を伴う軽傷、2名は1か月を超える入院治療が必要な重傷を負っています。加害者は逮捕・起訴され懲役2年(執行猶予4年)の刑が言い渡されていますが、加害者は任意保険未加入で資産も無く、被害者への賠償能力が全く無いことが問題になりました。

 平成27年末の自動車対人賠償保険加入率は87%(損害保険料算出機構調べ)で、自動車8台のうち1台は任意保険未加入という計算になり、これは決して無視できる割合ではありません。そこで今回の試算では、加害者が任意保険未加入の交通事故で、被害者が軽傷の場合と重傷の場合の2通りのモデルケースを作成し、自転車保険単独加入の場合と、比較的補償が充実している人身傷害補償保険に加入している場合を比較し、損害額と補償額の収支計算を行うという方法で比較をしたいと思います。

※ここで示す事例は架空のモデルケースであり、前述の事件とは一切関係無いことを予めお断りいたします。

交通事故の損害額の試算

 まずは被害者の損害額を試算します。被害者は交通事故で次のような怪我および損害を負ったものとします。

  ケースA(軽傷) ケースB(重傷)
怪我の内容

骨折(1箇所)

むち打ち症

骨折(複数箇所)

診断書の内容

全治4週間 全治2か月
治療内容

ギプス固定1か月

リハビリ通院5か月

骨接合手術

入院2か月

リハビリ通院10か月

後遺障害等級 非該当 14級9号
備考

過失割合=10:90

被害者は大学在学中の20歳男性

収入 アルバイト月5万円

ロードバイク全損(購入価格20万円・時価10万円)

治療は健康保険適用

交通事故の損害額の内訳

交通事故によって生じた金銭的損害(支出)の一覧です。

  ケースA(軽傷) ケースB(重傷)
費目 費用(円) 内訳・備考 費用(円) 内訳・備考

入院治療費

18万円

90,000円×2か月

(高額医療費制度負担上限額)

入院食事代  

4万8千円

1日800円×2か月
入院雑費    9万円

1日1,500円 ×2か月

(衣服レンタル代、有料テレビ代ほか)

通院治療費 9万円 1日1,000円×90日 15万円 1日1,000円×150日
通院交通費 4万5千円 1日500円×90日 7万5千円 1日500円×150日
治療費雑費 5万円 支払対象外の雑費 10万円 支払対象外の雑費
アルバイト休業減収 30万円 5万円×6か月 60万円 5万円×12か月

車両損傷

10万円 ロードバイク(時価) 10万円 ロードバイク(時価)
救援者費用   30万円 家族の東京~北海道往復・宿泊費用
ロードバイク再購入 20万円 新車購入 20万円 新車購入
直接支出小計 約80万円 約180万円
精神的損害 116万円

精神的苦痛に対する慰謝料(裁判基準・赤本別表1)

203万円

精神的苦痛に対する慰謝料(裁判基準・赤本別表1)
後遺障害

慰謝料

逸失利益

110万円

約230万円

慰謝料

逸失利益

合計 約200万円 約720万円

 入院費・通院費など直接生じた治療費のほか、アルバイト休業による減収、重傷者については家族が入院先へ飛行機で往復する費用を損害として計上しています。またロードバイクは購入価格やグレードは様々ですが、減価償却も考慮して時価10万円相当であると仮定しました。

 なお、精神的損害及び後遺障害による逸失利益は直接的な金銭支出ではありませんが、損害賠償請求の裁判で一般に認められている間接的な損害として、「交通事故損害額算定基準」いわゆる「赤い本」の基準額を計上しています。

まとめ

 モデルケースA(軽傷)の場合、直接的損害が金銭に換算して80万円、間接的な損害が116万円で損害額合計約200万円、モデルケースB(重傷)で直接的な損害が金銭に換算して160万円、間接的な損害が530万円で損害額合計約720万円という結果になりました。

 ケースBの治療費が意外に高くないと思うかもしれませんが、これは治療費が健康保険という公的保険でカバーされていて、本人負担額が3割かつ高額医療費制度で月約9万円(所得により異なります)の限度額に抑えられることが主な要因です。実際に医療機関で生じる医療費はこの額の3倍以上になります。

 また、直接的な金銭支出ではないものの、後遺症の残存に対しては将来に渡って苦しむことなどが考慮され、大きな損害があったものとして評価されます。

 このほか、学生であれば学業の遅れが生じるなど様々な損害が生じると考えられますが、試算モデルを単純化するため計上はしていません。

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